建築躯体としての窓ガラスとインテリアとしての窓ガラス

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顔も声もそっくりで、紛れもない親子。父の考え方の元で育ったはずの息子が、性格や考え方が全く違うということは、珍しくないと思います。親の嫌な部分を見て反面教師にしたり、親の叶えられなかった夢を叶える子どももいるのですから。貧しかった時代に育った父と、物や情報にあふれている時代に育った私とでは、価値観や感じ方が大きく違ってしまうこともあるものです。それは常々感じていたことでしたが、二世帯住宅を建てるに当たり、父と私とで、窓ガラスの設置場所や種類について、ことごとく意見が合わず、話し合いが難航しています。

私は窓ガラスを大きく取り、開放感あふれる明るい家が理想です。今までの家が古く湿気臭く、建て替える気になったのもその環境が嫌だったからです。しかし父は、昔泥棒に入られた経験があるせいか、開口部はなるべく少なく、気密性の高い、セキュリティー万全の家にしたいと譲りません。セキュリティーを万全にしたいのは私も同じですし、昔と違って今は、木造建築であってもしっかりした気密性も保てると思うのですが、父はとにかく窓を減らし、窓ガラスは簡単には割れない、頑丈な物を求めています。私の求めている窓ガラスは、機能も必要ですが、美しさにもこだわります。しかし父は、建築躯体としてしか窓ガラスを見ていないようです。建築躯体としての窓ガラスとインテリアとしての窓ガラスでは、同じ窓ガラスでもこれほど大きく違うものですね。この段階に来て、初めてわかりました。

母や妻、住宅メーカーの人にも間に入ってもらい、なんとかお互いの希望をすり合わせて皆が満足にする家にしたいと思っているのですが、強情なところだけは父譲りの私。お互いに窓ガラスについての熱い想いを譲れず、父とも険悪な雰囲気になってきてしまいました。この先無事に、二世帯住宅を完成させることができるのでしょうか。